さく井工事業の建設業許可を取得したい方へ！行政書士が解説します！

2024年8月22日

はじめに

さく井工事業は、地下水をくみ上げるための井戸を掘削し、設置する工事を行う業種です。飲料水の供給や農業用水の確保、さらには温泉の掘削など、さく井工事は幅広い用途で活用されています。この記事では、さく井工事業の概要や工事の流れ、専任技術者に必要な資格について解説します。また、資格の取得がどのように実務に役立つかについても触れていきます。

さく井工事業の概要

さく井工事業とは、地下水を利用するための井戸を掘削し、設置・管理する工事を行う業種です。地下水を有効活用するために、飲料水、農業用水、工業用水、温泉水の供給を目的として、さく井工事が行われます。これらの工事は、専門的な知識と技術を必要とし、地質調査や環境保全にも配慮した慎重な作業が求められます。

さく井工事の種類

さく井工事には以下のような種類があります。

飲料水用さく井工事: 地下水を飲料水として使用するための井戸を掘削し、ポンプや配管を設置します。安全で清潔な水の供給を確保するため、厳格な衛生基準が求められます。
農業用さく井工事: 農業灌漑用の井戸を掘削し、水を供給するための設備を整備します。水量の安定供給が重要で、持続可能な利用が求められます。
工業用さく井工事: 工場やプラントで使用される工業用水を確保するための井戸を掘削します。水質管理や設備のメンテナンスが重要です。
温泉さく井工事: 温泉を供給するための井戸を掘削し、温泉施設に供給するシステムを構築します。温泉の温度や成分を保つための技術が必要です。

さく井工事に使用される材料と機器

さく井工事では、さまざまな材料や機器が使用されます。主な材料や機器には以下のものがあります。

さく井管: 井戸の内壁を保護し、水をくみ上げるために使用される管です。耐久性と耐腐食性に優れた素材が選ばれます。
ポンプ設備: 地下水を地上にくみ上げるための機器で、用途に応じてさまざまなタイプがあります。
フィルター材: 井戸内で砂や異物が混入しないようにするためのフィルターで、水質を保持します。
掘削機械: 井戸を掘削するための大型機械で、地質に応じてさまざまな種類があります。

さく井工事の流れ

さく井工事は、以下の流れで進められます。

1. 地質調査と設計

工事の第一歩は地質調査です。地質調査では、地下水の存在を確認し、井戸の適切な位置と深さを決定します。その後、調査結果に基づいて井戸の設計図を作成します。

2. 工事の準備

設計図が承認されると、次に工事の準備が行われます。掘削機械やさく井管、ポンプ設備の調達、作業スケジュールの作成、現場の安全対策が含まれます。工事に伴う環境への影響も考慮されます。

3. さく井工事の実施

工事が開始されると、まず掘削が行われます。掘削作業は、地質や水位に応じて慎重に進められます。その後、さく井管の設置、フィルター材の配置、ポンプ設備の取り付けが行われます。

4. 試運転と調整

設置が完了した後、井戸の試運転が行われます。試運転では、地下水のくみ上げが正常に行われるか、水質が適切であるかを確認し、必要に応じて調整を行います。

5. 完成検査と引き渡し

工事が完了すると、完成検査が行われます。設置された井戸が正常に動作するか、設計通りに施工が行われているかを確認し、クライアントに引き渡します。

専任技術者に必要な資格

さく井工事業では、現場の管理や施工を行うために専任技術者の存在が不可欠です。専任技術者には以下のような資格が求められます。

資格名	実務経験	備考
1級土木施工管理技士	3年	大規模な土木工事の施工管理を行うことができる資格
2級土木施工管理技士	5年	中小規模の土木工事の施工管理を行うことができる資格
1級土木施工管理技士補	3年	土木施工管理技士を補助する資格
2級土木施工管理技士補	5年	土木施工管理技士を補助する資格
1級管工事施工管理技士	3年	管工事に関する施工管理を行うことができる資格
2級管工事施工管理技士	5年	中小規模の管工事に関する施工管理を行うことができる資格
1級管工事施工管理技士補	3年	管工事施工管理技士を補助する資格
2級管工事施工管理技士補	5年	管工事施工管理技士を補助する資格
1級造園施工管理技士	3年	大規模な造園工事の施工管理を行うことができる資格
2級造園施工管理技士	5年	中小規模の造園工事の施工管理を行うことができる資格
1級造園施工管理技士補	3年	造園施工管理技士を補助する資格
2級造園施工管理技士補	5年	造園施工管理技士を補助する資格
上下水道「上水道及び工業用水道」総合技術監理	–	上水道および工業用水道の技術管理を行う資格

これらの資格を持つ技術者が現場にいることで、さく井工事は安全かつ高品質に進められます。特に、土木施工管理技士や管工事施工管理技士の資格を持つ技術者は、施工現場の管理や品質の確保、安全対策において重要な役割を果たします。

さく井工事業の実務と資格の活かし方

さく井工事業において、専任技術者の資格は実務で非常に重要です。例えば、土木施工管理技士や管工事施工管理技士は、さく井工事の施工管理を担当し、工事が効率的かつ安全に進むように監督します。また、総合技術監理資格を持つ技術者は、上水道および工業用水道に関連する技術管理を行い、プロジェクトの成功に寄与します。

資格取得のメリット

さく井工事業で資格を取得することには、以下のようなメリットがあります。

キャリアの向上: 高度な資格を持つことで、プロジェクトリーダーや管理職への昇進が可能になります。
信頼性の向上: 資格を持つ技術者は、クライアントや上司からの信頼を得ややすくなり、仕事の受注や評価にも良い影響を与えます。また、資格を持つことで、会社の信頼性も向上し、より大規模なプロジェクトを受注する機会が増える可能性があります。
報酬の増加: 資格を取得することで、給与や報酬が増加する可能性があります。特に難易度の高い資格を取得した場合、専門的な知識とスキルを活かして高い報酬を得ることが期待できます。また、資格手当が支給される企業もあり、収入の増加につながります。
専門性の確立: 資格を取得することで、自分の専門分野を明確にし、特定の技術や知識に特化したキャリアを築くことができます。これにより、特定分野でのスペシャリストとしての地位を確立し、業界内での評価が高まります。

資格取得のステップ

資格取得にはいくつかのステップがあります。まず、対象となる資格の要件を確認し、必要な実務経験を積むことが重要です。次に、試験の準備を行い、試験に必要な知識や技術を習得します。多くの資格では実務経験が必要とされているため、日々の業務での経験を積み重ねることが資格取得の鍵となります。

試験合格後には、資格を活かして現場での実務に取り組み、専門知識をさらに深めることが求められます。これにより、業務の効率化や品質の向上を図ることができ、プロジェクトの成功に寄与することができます。

資格取得後のキャリアパス

資格取得後のキャリアパスは非常に多様です。以下にいくつかのキャリアパスの例を紹介します。

プロジェクトマネージャー
資格を活かして、プロジェクト全体を統括するプロジェクトマネージャーとしてのキャリアを築くことができます。プロジェクトマネージャーは、さく井工事の計画、予算管理、スケジュール管理、品質管理、安全管理などを担当し、プロジェクトの成功を目指します。
専門技術者・コンサルタント
資格を活かして、さく井工事に特化した専門技術者やコンサルタントとして活動することも可能です。技術的なアドバイスを提供し、工事の計画段階から完了まで、さまざまな面でプロジェクトをサポートする役割を担います。
教育・研修の指導者
取得した資格と実務経験を活かして、次世代の技術者を育成する教育・研修分野に進むことも可能です。企業内の研修プログラムでの指導や、専門学校や大学での講師としてのキャリアを築くことができます。
経営者・独立開業
豊富な経験と資格を持つ技術者は、独立して自らの会社を設立し、経営者としての道を歩むことも可能です。さく井工事に特化した建設会社を設立し、これまでの知識と経験を最大限に活かして事業を展開することができます。