1.はじめに
建設業許可は、500万円以上の工事を行うために必要不可欠な許可であり、その有効期間を過ぎてしまうと、許可を維持することができなくなります。では、もしその更新を忘れてしまい、許可が期限切れになってしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。本記事では、建設業許可の更新を忘れた場合の対策や再取得の手順、そして今後の防止策について詳しく解説します。
2. 建設業許可の有効期限と更新手続きの基本
建設業許可は5年間有効であり、有効期限が切れる前に更新手続きを行う必要があります。更新手続きは、許可の有効期限の2〜3ヶ月前から30日前までに行うのが一般的です。東京都の場合は2ヶ月前から受付をしております。更新手続きには、以下のような書類が必要となります。
- 更新申請書一式
- 業務実績報告書
- 財務諸表
これらの書類を準備し、適切なタイミングで申請を行うことで、引き続き建設業務を継続することができます。必要書類一覧はこちらの記事で紹介していますのでよければご覧ください。
3. 更新を忘れた場合の影響とリスク
建設業許可の更新を忘れてしまい、有効期限が切れてしまった場合、以下のような影響やリスクが考えられます。
- 業務停止: 許可が切れた状態で500万円以上の工事を受注することは違法となり、直ちに業務を停止しなければなりません。
- 罰則: 許可がないまま500万円以上の業務を受け続けた場合は、罰則や行政処分を受ける可能性があります。
- 信頼の喪失: 取引先や顧客からの信頼を失い、今後の業務に大きな支障をきたす恐れがあります。
4. 更新を忘れた際のデメリット
建設業許可の更新を忘れた場合、以下のようなデメリットがあります。
- 許可番号が変わる: 新たに許可を取得するため、以前の許可番号とは異なる新しい番号が付与されます。
- 無許可状態: 許可が切れてから再取得までの間、無許可状態となります。この間、500万円以上の工事を受け負うことができません。
- CCUSの営業年数がゼロになる: 建設キャリアアップシステム(CCUS)において、営業年数がゼロから再スタートとなり、積み重ねてきた実績がリセットされます。
- 経営事項審査の影響: 経営事項審査を受ける際、許可が切れている期間は営業期間としてカウントされません。
- 申請手数料が高くなる: 更新申請なら約5万円ですが、新規申請の場合は約9万円と、手数料が高くなります。
- 500万円未満の工事は可能: 許可が切れても500万円未満の工事であれば受注・営業が可能ですが、大型案件の受注が制限されます。
5. 期限切れ後の対応手順
期限が切れてしまった場合、迅速に対応することが重要です。以下の手順で対処しましょう。
- 業務停止の通知: 取引先や顧客に対して、許可の期限が切れたことを速やかに通知し、業務を一時停止することを伝えます。
- 必要書類の準備: 再取得のための書類を準備します。これには、新規取得と同様の書類が必要となる場合があります。
- 再申請の手続き: 許可が切れてしまった場合は、更新ではなく再度新規で申請する必要があります。新規申請の手続きはこちらの記事で解説していますので併せてご覧ください。
- 審査の待機: 再申請後、審査が行われます。この間は500万円以上の工事を受注することができません。
6. 再取得のための具体的な手順
再取得の手順は、基本的に新規申請と同様のプロセスを踏むことになります。具体的には以下の通りです。
- 申請書の記入: 所定の申請書に必要事項を記入します。
- 添付書類の準備: 以下の書類を準備します。
- 会社概要書(法人の場合)
- 専任技術者の確認資料
- 経営業務の管理責任者の資料
- その他、各種証明書
- 申請書類の提出: 管轄の都道府県知事または国土交通省の各地方整備局に申請書類を提出します。
- 審査: 行政機関による審査が行われます。審査には数週間から数か月かかることがあります。
- 許可証の受領: 審査が通過すれば、新しい許可証を受領し、業務を再開することができます。
7. 更新忘れの防止策
今後同じミスを繰り返さないために、以下の防止策を講じることが重要です。
- リマインダーの設定: 許可の有効期限が近づいたら通知するリマインダーを設定しましょう。
- 担当者の配置: 更新手続き専任の担当者を配置し、定期的に進捗を確認する体制を整えます。
- 業務フローの見直し: 更新手続きを含めた業務フローを見直し、確実に更新手続きが行われるよう改善します。
- 外部の専門家の活用: 行政書士や弁護士などの専門家に依頼し、確実な手続きをサポートしてもらうのも一つの方法です。
- 更新期限の異なる業種を一本化する: 複数の許可を保有している場合、更新期限が異なることがあります。これを防ぐために、可能であれば更新期限を一本化し、一度にまとめて更新手続きを行うことで、管理の手間を減らすことができます。
8.まとめ
建設業許可の更新を忘れてしまうと、業務停止や罰則といった重大なリスクが伴います。期限が切れてしまった場合には迅速に再取得の手続きを行い、再び業務を継続できるよう対処しましょう。また、今後同じミスを防ぐためには、リマインダーの設定や担当者の配置、業務フローの見直しといった対策を講じることが重要です。特に、複数の許可を保有している場合は、更新期限を一本化することで効率的に管理することができます。
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