解体工事業で建設業許可を取得したい方へ！行政書士が解説します！

2024年8月29日

はじめに

解体工事業は、老朽化した建物や不要になった構造物を解体・撤去する工事を行う業種です。安全かつ効率的に建物を取り壊し、その後の土地利用を可能にするために不可欠な工事です。また、環境保護の観点からも、解体作業における廃材のリサイクルや適正処理が求められます。この記事では、解体工事業の概要や工事の流れ、専任技術者に必要な資格について解説します。また、資格の取得がどのように実務に役立つかについても触れていきます。

解体工事業の概要

解体工事業とは、建物や構造物を取り壊す工事を専門とする業種です。主に老朽化した建築物、リフォームや再開発のために必要な建物、災害で損壊した建物の撤去などを行います。解体工事は、建物の構造に合わせた専門的な知識と技術が求められるため、正確かつ安全な作業が必要です。また、解体に伴う産業廃棄物の適正処理も重要な業務の一部です。

解体工事の種類

解体工事には以下のような種類があります。

建築物解体工事: 住宅、ビル、工場などの建物を取り壊す工事です。木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など、建物の構造に応じた解体方法が採用されます。
内装解体工事: 建物の内部のみを解体する工事で、リフォームや改装に伴う内装の撤去作業が含まれます。
設備解体工事: 工場やプラントの機械設備、配管などの解体・撤去を行います。設備の再利用やリサイクルも考慮されます。
橋梁・構造物解体工事: 橋や高速道路の高架、煙突など、特殊な構造物を解体する工事です。高度な技術と安全対策が求められます。

解体工事に使用される材料と機器

解体工事では、さまざまな重機や工具が使用されます。主な機器には以下のものがあります。

バックホー（油圧ショベル）: 建物の取り壊しや基礎の撤去に使用される大型の重機で、解体作業の中心的な役割を担います。
ハンマー機: コンクリートやアスファルトの破砕に使用される工具で、特に道路や駐車場の解体で使用されます。
ダンプカー: 解体した廃材や瓦礫を運搬するための車両で、現場から処分場への輸送を担います。
コンクリートクラッシャー: コンクリート構造物を破壊するための専用機器で、大型の建物解体に使用されます。

解体工事の流れ

解体工事は、以下の流れで進められます。

1. 現地調査と計画策定

工事の第一歩は現地調査です。現地調査では、建物の構造、周辺環境、解体方法などを確認し、安全かつ効率的な解体計画を策定します。計画には、使用する重機の選定や廃材の処理方法、安全対策などが含まれます。

2. 工事の準備

計画が承認されると、次に工事の準備が行われます。必要な重機や機材の手配、現場の養生（周囲への被害防止）、近隣住民への説明と調整、安全対策の実施などが含まれます。

3. 解体工事の実施

工事が開始されると、まず内装の撤去や配線・配管の処理が行われ、その後に建物の外部構造の解体が進められます。重機を用いた解体作業では、騒音や振動、粉じんの発生を抑えるための対策も重要です。

4. 廃材の分別と処理

解体に伴って発生した廃材や瓦礫は、鉄、コンクリート、木材などに分別され、リサイクルや適正な処分が行われます。産業廃棄物の処理は法令に従って行われ、環境への影響を最小限に抑えることが求められます。

5. 整地と引き渡し

解体が完了すると、残った瓦礫を撤去し、整地作業を行います。工事現場が安全で整然とした状態に整えられた後、クライアントに引き渡されます。

専任技術者に必要な資格

解体工事業では、現場の管理や施工を行うために専任技術者の存在が不可欠です。専任技術者には以下のような資格が求められます。

資格名	実務経験	備考
1級土木施工管理技士	–	大規模な土木工事の施工管理を行うことができる資格
2級土木施工管理技士	–	中小規模の土木工事の施工管理を行うことができる資格
1級建築施工管理技士	–	大規模な建築工事の施工管理を行うことができる資格
2級建築施工管理技士	–	中小規模の建築工事の施工管理を行うことができる資格
1級造園施工管理技士	3年	大規模な造園工事の施工管理を行うことができる資格
2級造園施工管理技士	5年	中小規模の造園工事の施工管理を行うことができる資格
1級造園施工管理技士補	3年	造園施工管理技士を補助する資格
2級造園施工管理技士補	5年	造園施工管理技士を補助する資格
技術士（建設部門、鋼構造及びコンクリートを除く）総合技術監理	–	建設分野における総合的な技術管理を行う資格
技術士（建設部門、鋼構造及びコンクリート）総合技術監理	–	鋼構造及びコンクリートに特化した技術管理を行う資格

これらの資格を持つ技術者が現場にいることで、解体工事は安全かつ高品質に進められます。特に、建築施工管理技士や土木施工管理技士の資格を持つ技術者は、解体工事の現場で安全管理や施工の質を確保する上で重要な役割を果たします。

解体工事業の実務と資格の活かし方

解体工事業において、専任技術者の資格は実務で非常に重要です。例えば、建築施工管理技士は、建物の構造に応じた解体方法を計画し、安全な施工を確保します。また、技術士の資格を持つ技術者は、現場全体の技術管理や廃材のリサイクル計画など、環境配慮型の施工を指導することができます。

資格取得のメリット

解体工事業で資格を取得することには、以下のようなメリットがあります。

キャリアの向上: 資格を持つことで、プロジェクトリーダーや管理職への昇進が可能になります。特に、大規模プロジェクトでは資格保有者が中心的な役割を担います。
信頼性の向上: 資格を持つ技術者は、クライアントや上司からの信頼を得やすくなり、仕事の受注や評価にも良い影響を与えます。また、解体工事では、安全対策や環境保護が非常に重要であるため、資格を持つことでこれらの分野での信頼性が向上します。
報酬の増加: 資格を取得することで、給与や報酬が増加する可能性があります。特に難易度の高い資格を持つことで、専門知識と技術を活かし、高い報酬を得ることが期待されます。また、資格手当が支給される企業もあり、収入の増加につながります。

資格取得のステップ

資格取得にはいくつかのステップがあります。まず、対象となる資格の要件を確認し、必要な実務経験を積むことが重要です。次に、試験の準備を行い、試験に必要な知識や技術を習得します。多くの資格では実務経験が必要とされており、日々の業務での経験を積み重ねることが資格取得の鍵となります。

試験合格後には、資格を活かして現場での実務に取り組み、専門知識をさらに深めることが求められます。これにより、業務の効率化や品質の向上を図ることができ、プロジェクトの成功に貢献することができます。

資格取得後のキャリアパス

資格取得後のキャリアパスは非常に多様です。以下にいくつかのキャリアパスの例を紹介します。

プロジェクトマネージャー
資格を活かして、プロジェクト全体を統括するプロジェクトマネージャーとしてのキャリアを築くことができます。プロジェクトマネージャーは、解体工事の計画、予算管理、スケジュール管理、品質管理、安全管理などを担当し、プロジェクトの成功を目指します。
専門技術者・コンサルタント
資格を活かして、解体工事に特化した専門技術者やコンサルタントとして活動することも可能です。解体方法の最適化、廃材のリサイクル方法の提案、環境対策に関するアドバイスなどを提供し、プロジェクトの成功に貢献します。
教育・研修の指導者
取得した資格と実務経験を活かして、次世代の技術者を育成する教育・研修分野に進むことも可能です。企業内の研修プログラムでの指導や、専門学校や大学での講師としてのキャリアを築くことができます。教育者としての役割を通じて、業界全体の技術水準を向上させることが期待されます。
経営者・独立開業
豊富な経験と資格を持つ技術者は、独立して自らの会社を設立し、経営者としての道を歩むことも可能です。解体工事に特化した会社を設立し、これまでの知識と経験を最大限に活かして事業を展開することができます。特に、品質管理や安全管理に強みを持つ会社を運営することで、安定した需要が見込めます。