清掃施設工事業で建設業許可を取得したい方へ！行政書士が解説します！

2024年8月29日

はじめに

清掃施設工事業は、廃棄物の処理やリサイクル施設、汚物処理施設などの設置・修理・保守を行う業種です。都市の廃棄物処理やリサイクルの効率化、環境保護を推進するために不可欠なインフラを支える重要な工事業です。この記事では、清掃施設工事業の概要や工事の流れ、専任技術者に必要な資格について解説します。また、資格の取得がどのように実務に役立つかについても触れていきます。

清掃施設工事業の概要

清掃施設工事業とは、廃棄物処理場、焼却施設、リサイクルセンター、汚物処理施設など、廃棄物や汚物を適切に処理するための施設を設置・保守する工事を行う業種です。この工事業は、環境への負荷を軽減し、廃棄物の適正処理を行うための設備の整備を通じて、地域社会の環境保全に大きく貢献します。

清掃施設工事の種類

清掃施設工事には以下のような種類があります。

廃棄物処理施設工事: 廃棄物の焼却、分別、リサイクルを行う施設を設置する工事です。最新の技術を導入し、効率的かつ環境に優しい廃棄物処理を実現します。
リサイクル施設工事: 資源を回収し再利用するためのリサイクル施設を設置します。リサイクル率を向上させ、循環型社会の実現を目指します。
汚物処理施設工事: 汚水や汚物を適切に処理するための施設を設置します。公衆衛生の向上と水質汚染の防止に貢献します。
焼却施設工事: 廃棄物を焼却処理するための施設を設置し、排出ガスの浄化装置などを備えた最新の焼却技術を導入します。

清掃施設工事に使用される材料と機器

清掃施設工事では、さまざまな材料や機器が使用されます。主な材料や機器には以下のものがあります。

焼却炉: 廃棄物を高温で焼却し、量を減らすための設備で、排ガス処理装置を併設することで環境負荷を軽減します。
コンベアシステム: 廃棄物を自動的に搬送するためのシステムで、分別や処理の効率を高めます。
汚物処理装置: 下水や汚物を処理するための設備で、衛生的な処理が可能です。
フィルター材: 焼却施設や排水処理施設で使用されるフィルターで、排出ガスや汚水の浄化に役立ちます。

清掃施設工事の流れ

清掃施設工事は、以下の流れで進められます。

1. 現地調査と設計

工事の第一歩は現地調査です。現地調査では、施設の設置場所の条件を確認し、廃棄物や汚物の処理能力、環境への影響などを考慮して設計を行います。その後、詳細な設計図を作成し、施設のレイアウトや設備の仕様を決定します。

2. 工事の準備

設計図が承認されると、次に工事の準備が行われます。材料や機器の調達、作業スケジュールの作成、現場の安全対策が含まれます。清掃施設工事では、周囲の環境への配慮が特に重要であり、厳密な安全対策が求められます。

3. 設備の設置工事

工事が開始されると、まず基礎工事や掘削作業が行われます。その後、焼却炉や処理装置、コンベアシステムなどの設置が行われ、各設備が互いに連携して効率的に稼働できるように設計通りに配置されます。

4. 試運転と調整

設置が完了した後、設備の試運転が行われます。試運転では、処理能力や排出ガスの浄化状況などを確認し、必要に応じて調整を行います。特に排ガスや排水の規制値を満たすことが重要です。

5. 完成検査と引き渡し

工事が完了すると、完成検査が行われます。設計図通りに施工が行われているか、設備が正常に機能しているか、安全基準を満たしているかを確認します。必要に応じて修正が行われ、最終的にクライアントに引き渡されます。

専任技術者に必要な資格

清掃施設工事業では、現場の管理や施工を行うために専任技術者の存在が不可欠です。専任技術者には以下のような資格が求められます。

資格名	実務経験	備考
1級土木施工管理技士	3年	大規模な土木工事の施工管理を行うことができる資格
2級土木施工管理技士	5年	中小規模の土木工事の施工管理を行うことができる資格
1級土木施工管理技士補	3年	土木施工管理技士を補助する資格
2級土木施工管理技士補	5年	土木施工管理技士を補助する資格
1級建築施工管理技士	3年	大規模な建築工事の施工管理を行うことができる資格
2級建築施工管理技士	5年	中小規模の建築工事の施工管理を行うことができる資格
1級建築施工管理技士補	3年	建築施工管理技士を補助する資格
2級建築施工管理技士補	5年	建築施工管理技士を補助する資格
1級管工事施工管理技士	3年	管工事に関する施工管理を行うことができる資格
2級管工事施工管理技士	5年	中小規模の管工事に関する施工管理を行うことができる資格
1級管工事施工管理技士補	3年	管工事施工管理技士を補助する資格
2級管工事施工管理技士補	5年	管工事施工管理技士を補助する資格
1級造園施工管理技士	3年	大規模な造園工事の施工管理を行うことができる資格
2級造園施工管理技士	5年	中小規模の造園工事の施工管理を行うことができる資格
1級造園施工管理技士補	3年	造園施工管理技士を補助する資格
2級造園施工管理技士補	5年	造園施工管理技士を補助する資格
衛生工学「廃棄物・資源循環」又は「汚物処理」総合技術監理	–	廃棄物管理や資源循環に関する技術管理を行う資格

これらの資格を持つ技術者が現場にいることで、清掃施設工事は安全かつ高品質に進められます。特に、土木施工管理技士や建築施工管理技士、管工事施工管理技士、造園施工管理技士、および総合技術監理資格を持つ技術者は、施工現場の管理や品質の確保、安全対策において重要な役割を果たします。これらの資格を持つ技術者は、現場での施工計画の策定、進捗管理、安全対策の実施、品質管理の徹底など、清掃施設工事を成功に導くための重要な役割を担っています。

清掃施設工事業の実務と資格の活かし方

清掃施設工事業において、専任技術者の資格は実務で非常に重要です。例えば、土木施工管理技士や建築施工管理技士は、清掃施設工事の全体的な設計や技術的な指導を行い、工事が効率的かつ安全に進むように管理します。また、管工事施工管理技士や造園施工管理技士は、施設の設置における配管や外構工事などの専門分野においても優れた技術を発揮します。

さらに、総合技術監理資格を持つ技術者は、清掃施設の高度な廃棄物処理技術や資源循環システムの管理において重要な役割を担い、環境に配慮した持続可能な施設運営をサポートします。

資格取得のメリット

清掃施設工事業で資格を取得することには、以下のようなメリットがあります。

キャリアの向上: 高度な資格を持つことで、プロジェクトマネージャーや現場監督、管理職への昇進が可能になります。特に、大規模な清掃施設プロジェクトにおいては、資格保有者の技術力が求められます。
信頼性の向上: 資格を持つ技術者は、クライアントや上司からの信頼を得やすくなり、仕事の受注や評価にも良い影響を与えます。特に、環境保護や公衆衛生を担う清掃施設工事では、資格の有無がプロジェクトの成否に直結します。
報酬の増加: 資格を取得することで、給与や報酬が増加する可能性があります。難易度の高い資格を持つことで、専門知識と技術を活かして高い報酬を得ることが期待できます。

資格取得のステップ

資格取得にはいくつかのステップがあります。まず、対象となる資格の要件を確認し、必要な実務経験を積むことが重要です。次に、試験の準備を行い、試験に必要な知識や技術を習得します。多くの資格では実務経験が必要とされているため、日々の業務での経験を積み重ねることが資格取得の鍵となります。

試験合格後には、資格を活かして現場での実務に取り組み、専門知識をさらに深めることが求められます。これにより、業務の効率化や品質の向上を図ることができ、プロジェクトの成功に貢献することができます。

資格取得後のキャリアパス

資格取得後のキャリアパスは非常に多様です。以下にいくつかのキャリアパスの例を紹介します。

プロジェクトマネージャー
資格を活かして、プロジェクト全体を統括するプロジェクトマネージャーとしてのキャリアを築くことができます。プロジェクトマネージャーは、清掃施設工事の計画、予算管理、スケジュール管理、品質管理、安全管理などを担当し、プロジェクトの成功を目指します。
専門技術者・コンサルタント
資格を活かして、清掃施設工事に特化した専門技術者やコンサルタントとして活動することも可能です。設計や施工方法の最適化、材料選定に関するアドバイスを提供し、プロジェクトの成功に貢献する役割を担います。また、最新の環境技術や法令遵守に関するコンサルティングも行えます。
教育・研修の指導者
取得した資格と実務経験を活かして、次世代の技術者を育成する教育・研修分野に進むことも一つの選択肢です。企業内の研修プログラムでの指導や、専門学校や大学での講師としてのキャリアを築くことができます。
経営者・独立開業
豊富な経験と資格を持つ技術者は、独立して自らの会社を設立し、経営者としての道を歩むことも可能です。清掃施設工事に特化した会社を設立し、これまでの知識と経験を最大限に活かして事業を展開することができます。