1. はじめに
建設業者として金額の大きな工事を受注するためには、建設業法に基づく許可が必要です。新規に建設業許可を申請する際には、各種の書類を用意し、正確に提出することが求められます。しかし、必要書類は多岐にわたり、その内容も複雑です。この記事では、建設業法許可の新規申請に必要な書類を徹底解説します。書類の種類や提出方法を理解し、スムーズな申請手続きを目指しましょう。
2. 新規申請の基本要件
建設業許可を新規に取得するためには、以下の基本要件を満たす必要があります。
- 経営能力の証明: 申請者が経営能力を持つことを証明するために、経営業務の管理責任者証明書が必要です。
- 技術能力の証明: 建設業に必要な技術力を有することを証明するために、専任技術者の確認資料を提出します。
- 財務的基盤の証明: 安定した財務基盤を持つことを証明するために、預金残高証明書などの財務資料の提出が求められます。
- 適正な営業所の設置: 適正な事業所を有することを証明するために、営業所の確認資料が必要です。
- 欠格要件に該当しないこと:法令遵守や社会的信用を確保していること
- 適切な社会保険の加入:個人、法人によって加入する保険の種類が異なる
- 誠実性:誠実に仕事をする心構え
3. 申請に必要な書類一覧
建設業許可を新規申請する際には、以下の書類を用意する必要があります。
- 建設業許可申請書一式
- 登記されていないことの証明書
- 身分証明書
- 登記事項証明書(法人のみ)
- 営業所の確認資料
- 保険証
- 専任技術者の確認資料
- 経営業務の管理責任者の確認資料
- 預金残高証明書又は決算書
下記にそれぞれ解説していきます。
4. 各書類の詳細説明
建設業許可申請書一式
建設業許可申請書一式は、建設業許可申請の基本となる書類です。この申請書には、申請者の基本情報、事業内容、経営者の情報などが含まれます。申請書は、正確に記入することが重要であり、誤りがあると申請が却下される可能性があります。申請書一覧はこちら
登記されていないことの証明書
「登記されていないことの証明書」は、成年被後見人等として登記(登録)されていないことを証明するもので、成年被後見人等でないことが条件となっている資格・営業許可など(建設業、宅建業、警備業、古物商、産業廃棄物処理業、貸金業等)の取得や更新の際に必要となるものです。
登記されていないことの証明書の申請書はこちらからダウンロードください。
身分証明書
禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていない、後見の登記の通知を受けていない、破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていないことを本籍地で証明するものです。本籍記載の市役所で取得できます。
請求できる方は、ご本人(未成年の子の場合は親権者)又はご本人から委任状を預かった方のみです。取得の際は免許証、マイナンバーカードなどを提出する必要があります。
登記事項証明書
会社や不動産など、法令で登記することが定められている事項の全部もしくは一部を証明する書類です。登記事項証明書は、記載内容が大きく異なる2つの名称がありますので注意が必要です。
- 会社・法人の登記事項証明書
- 土地・建物の登記事項証明書
建設業許可の申請で必要なのは会社・法人の登記事項証明書になります。記載内容は以下の通りです。
- 商号・会社名
- 本店所在地
- 代表者の氏名
- 設立年月日
- 資本金
- 事業目的
- 役員の氏名
- 株式の譲渡制限の有無
登記事項証明書の交付請求には3つの方法があります。
- 法務局や登記所の窓口から直接請求
- 郵送で窓口に請求
- パソコンでオンラインで請求
この中で、最もオススメする請求方法は、手間なく安くどこでも請求できる3つ目のオンライン申請です。移動の手間もなく自宅から簡単に申請が可能です。
登記事項証明書を取得したい方はこちらから
営業所の確認資料
営業所の確認資料は、申請者が適正な事業所を持っていることを証明するための書類です。事務所の写真や平面図、賃貸契約書などが含まれます。
保険証
建設業を営むためには、適切な社会保険に加入する必要があります。1人親方や個人事業主は国民健康保険の加入で問題ありません。ただし、個人事業主でも週に20時間以上働く労働者を雇っている場合は土建や健康保険に加入していることが求められます。法人は土建や健康保険組合の加入が必要になります。
記入用紙はこちらから
専任技術者の確認資料
専任技術者の確認資料は、申請者が必要な技術力を有していることを証明する書類です。
国家資格を持っている場合は合格証のコピーを提出します。
10年の実務経験で証明する場合は契約書10年分又は請求書+入金が確認できる物(通帳)10年分が
必要になってきます。日頃から契約書や請求をしっかりと管理しておくことが重要です。
経営業務の管理責任者の確認資料
経営業務の管理責任者の確認資料は、申請者が適切な経営能力を持っていることを証明する書類です。
1人親方や個人事業主の場合は確定申告書5年分で証明します。法人の場合は登記事項証明書で証明していきます。
預金残高証明書又は決算書
預金残高証明書は、申請者の財務状況を証明するための書類です。銀行から取得することができ、残高に500万円以上あることが求められ、申請者の財務基盤の安定性を示します。
決算書は貸借対照表を提出します。具体的には貸借対照表の純資産の部が500万円以上あれば問題ありません。
5. 申請書類の提出方法と注意点
建設業許可の申請書類は、提出先となる国土交通省や各都道府県の建設業許可申請窓口に提出します。提出方法や受付時間、必要な手数料などは、事前に確認しておくことが重要です。また、提出書類は全てコピーを取っておくと良いでしょう。提出後に不備が見つかった場合、再提出が必要となることがありますので、注意深く確認してください。
6. 申請後の流れと注意事項
申請書類を提出した後、審査が行われます。審査期間は、通常1ヶ月から3ヶ月程度です。審査の結果、許可が下りると、建設業許可証が発行されます。しかし、不備や問題がある場合は、追加書類の提出や再申請が求められることがあります。許可が下りた後も、定期的な更新手続きや報告義務があるため、継続的な管理が必要です。自社で管理が難しい場合は専門の行政書士に相談するとよいでしょう。
7. よくある質問と回答
Q: 申請にどれくらいの時間がかかりますか?
A: 通常、申請から許可が下りるまでに1ヶ月から3ヶ月程度かかります。ただし、書類の不備や追加提出が必要な場合は、それ以上の時間がかかることもあります。
Q: 経営業務の管理責任者証明書とは具体的に何ですか?
A: 経営業務の管理責任者証明書は、申請者が適切な経営能力を持っていることを証明する書類です。経営者の経歴や職務内容が詳細に記載されており、申請者が必要な経営経験を有していることを証明し、
通常は確定申告書や登記事項証明書で証明します。
Q: 専任技術者の確認資料にはどのような情報が必要ですか?
A: 専任技術者の確認資料には、技術者の資格証明書、職務経歴書、過去の実績などが含まれます。これにより、申請者が建設業に必要な技術力を有していることを証明します。
Q: 財務諸表の代わりに預金残高証明書を提出する場合の注意点は何ですか?
A: 財務諸表の代わりに預金残高証明書を提出する場合、残高証明書が最新のものであることが重要です。通常、申請日から3ヶ月以内に発行されたものが求められます。また、複数の銀行口座を持っている場合は、全ての口座の残高証明書を提出する必要があります。
Q: 営業所の確認資料には何が含まれますか?
A: 営業所の確認資料には、事務所の写真(外観および内部)、平面図、賃貸契約書(賃貸の場合)が含まれます。これらの資料は、事業所が適正な場所であることを証明するために必要です。
まとめ
建設業許可の新規申請に必要な書類は多岐にわたり、詳細な準備が求められます。しかし、必要な書類を正確に揃え、適切に提出することで、スムーズな申請手続きを実現できます。本記事で紹介した情報を参考に、準備を進めましょう。また、申請後も定期的な更新手続きや報告義務があるため、継続的な管理が必要です。建設業の許可を取得し、安心して事業を展開できるように、正確な情報と準備を心掛けてください。
建設業許可の取得は、事業の信頼性を高め、法的に認められた建設業者としての活動を可能にします。この記事が、あなたの建設業許可申請の一助となれば幸いです。疑問点や不明点がある場合は、行政書士に相談することをお勧めします。
こちら動画で記事の内容をまとめました。併せて確認してご参考ください。
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