水道施設工事業で建設業許可を取得したい方へ！行政書士が解説します！

2024年8月27日

はじめに

水道施設工事業は、公共および民間の水道施設の設置・修理・保守を行う業種です。この工事業は、安全で衛生的な飲料水の供給や、工業用水、上水道の安定的な供給を支える重要な役割を担っています。この記事では、水道施設工事業の概要や工事の流れ、専任技術者に必要な資格について解説します。また、資格の取得がどのように実務に役立つかについても触れていきます。

水道施設工事業の概要

水道施設工事業とは、主に上水道および工業用水道の供給設備を設置・修理・保守する工事を行う業種です。これには、配水管や給水管の敷設、浄水場の建設、貯水槽やポンプ設備の設置、さらには老朽化した設備の改修工事が含まれます。水道施設工事は、地域社会における生活の基盤を支えるものであり、高度な専門知識と技術が求められます。

水道施設工事の種類

水道施設工事には以下のような種類があります。

配水管敷設工事: 地域内の水道配管を新たに敷設し、安定した水の供給を確保する工事です。道路の下や建物の周りに配管を敷設します。
給水管設置工事: 各家庭やビルに水を供給するための給水管を設置します。各建物に直接水を供給するための重要な工事です。
浄水場建設工事: 河川や湖沼から取水した水を浄化するための浄水場を建設します。水質を確保するため、最新の浄水技術が導入されます。
貯水槽・ポンプ設備工事: 水を貯蔵するための貯水槽や、水圧を維持するためのポンプ設備を設置します。これにより、安定した水道供給が可能になります。
水道施設の保守・修理工事: 老朽化した水道施設や配管の修理・改修を行い、安全で効率的な水道供給を維持します。

水道施設工事に使用される材料と機器

水道施設工事では、さまざまな材料や機器が使用されます。主な材料や機器には以下のものがあります。

ダクタイル鋳鉄管: 耐久性と耐圧性に優れた水道配管材料で、主に配水管や給水管に使用されます。
ポンプ設備: 水を高圧で送水するためのポンプで、浄水場や貯水槽に設置されます。高効率で信頼性の高いものが選ばれます。
貯水槽: 浄水場で浄化された水を一時的に貯蔵するための設備で、鉄筋コンクリートや鋼製のものが一般的です。
浄水フィルター: 浄水場で使用されるフィルターで、水中の異物や汚染物質を除去します。高性能なフィルターが水質を保ちます。

水道施設工事の流れ

水道施設工事は、以下の流れで進められます。

1. 現地調査と設計

工事の第一歩は現地調査です。現地調査では、地形や既存のインフラの状況を確認し、適切な工事方法を決定します。その後、調査結果に基づいて配管や施設の設計図を作成します。

2. 工事の準備

設計図が承認されると、次に工事の準備が行われます。材料の調達、作業スケジュールの作成、現場の安全対策が含まれます。水道施設工事では、周辺環境への配慮が特に重要です。

3. 配管や施設の設置工事

工事が開始されると、まず基礎工事や掘削作業が行われます。その後、配管の敷設、貯水槽やポンプ設備の設置、浄水場の建設などが行われます。各工程で品質管理が徹底され、計画通りに施工が進められます。

4. 試運転と調整

設置が完了した後、設備の試運転が行われます。試運転では、水が正常に供給されるか、水質が適切であるかを確認し、必要に応じて調整を行います。

5. 完成検査と引き渡し

工事が完了すると、完成検査が行われます。設計図通りに施工が行われているか、配管や設備が正常に機能しているか、安全基準を満たしているかを確認します。必要に応じて修正が行われ、最終的にクライアントに引き渡されます。

専任技術者に必要な資格

水道施設工事業では、現場の管理や施工を行うために専任技術者の存在が不可欠です。専任技術者には以下のような資格が求められます。

資格名	実務経験	備考
1級土木施工管理技士	–	大規模な土木工事の施工管理を行うことができる資格
2級土木施工管理技士	–	中小規模の土木工事の施工管理を行うことができる資格
1級土木施工管理技士補	3年	土木施工管理技士を補助する資格
2級土木施工管理技士補	5年	土木施工管理技士を補助する資格
1級建築施工管理技士	3年	大規模な建築工事の施工管理を行うことができる資格
2級建築施工管理技士	5年	中小規模の建築工事の施工管理を行うことができる資格
1級建築施工管理技士補	3年	建築施工管理技士を補助する資格
2級建築施工管理技士補	5年	建築施工管理技士を補助する資格
上下水道総合技術監理	–	上下水道施設全般の技術管理を行う資格
上下水道「上水道及び工業用水道」総合技術監理	–	上水道および工業用水道に関連する技術管理を行う資格
衛生工学「水質管理」総合技術監理	–	水質管理に関する高度な技術管理を行う資格
衛生工学「廃棄物・資源循環」又は「汚物処理」総合技術監理	–	廃棄物管理や資源循環に関する技術管理を行う資格

これらの資格を持つ技術者が現場にいることで、水道施設工事は安全かつ高品質に進められます。特に、土木施工管理技士や建築施工管理技士、上下水道に関する技術監理資格を持つ技術者は、施工現場の管理や品質の確保、安全対策において重要な役割を果たします。

水道施設工事業の実務と資格の活かし方

水道施設工事業において、専任技術者の資格は実務で非常に重要です。例えば、土木施工管理技士や建築施工管理技士は、水道施設工事の施工管理を担当し、工事が効率的かつ安全に進むように監督します。また、総合技術監理資格を持つ技術者は、上下水道や水質管理、廃棄物処理に関連する技術管理を行い、プロジェクトの成功に寄与します。

資格取得のメリット

水道施設工事業で資格を取得することには、以下のようなメリットがあります。

キャリアの向上: 高度な資格を持つことで、プロジェクトリーダーや管理職への昇進が可能になります。特に、複雑で大規模な水道施設工事において、資格保有者は重要な役割を担うことができます。
信頼性の向上: 資格を持つ技術者は、クライアントや上司からの信頼を得やすくなり、仕事の受注や評価にも良い影響を与えます。また、資格を持つことで、会社全体の信頼性も高まり、より多くのプロジェクトを獲得する機会が増えるでしょう。
報酬の増加: 資格を取得することで、給与や報酬が増加する可能性があります。特に、難易度の高い資格を持つ技術者は、その専門知識と技術を活かして高い報酬を得ることが期待できます。

資格取得のステップ

資格取得にはいくつかのステップがあります。まず、対象となる資格の要件を確認し、必要な実務経験を積むことが重要です。次に、試験の準備を行い、試験に必要な知識や技術を習得します。多くの資格では実務経験が必要とされており、日々の業務での経験を積み重ねることが資格取得の鍵となります。

試験合格後には、資格を活かして現場での実務に取り組み、専門知識をさらに深めることが求められます。これにより、業務の効率化や品質の向上を図ることができ、プロジェクトの成功に貢献することができます。

資格取得後のキャリアパス

資格取得後のキャリアパスは非常に多様です。以下にいくつかのキャリアパスの例を紹介します。

プロジェクトマネージャー
資格を活かして、プロジェクト全体を統括するプロジェクトマネージャーとしてのキャリアを築くことができます。プロジェクトマネージャーは、水道施設工事の計画、予算管理、スケジュール管理、品質管理、安全管理などを担当し、プロジェクトの成功を目指します。
専門技術者・コンサルタント
資格を活かして、水道施設工事に特化した専門技術者やコンサルタントとして活動することも可能です。設計や施工方法の最適化、材料選定に関するアドバイスを提供し、プロジェクトの成功に貢献する役割を担います。また、上下水道や水質管理、廃棄物処理に関するコンサルティング業務も行えます。
教育・研修の指導者
取得した資格と実務経験を活かして、次世代の技術者を育成する教育・研修分野に進むことも可能です。企業内の研修プログラムでの指導や、専門学校や大学での講師としてのキャリアを築くことができます。
経営者・独立開業
豊富な経験と資格を持つ技術者は、独立して自らの会社を設立し、経営者としての道を歩むことも可能です。水道施設工事に特化した会社を設立し、これまでの知識と経験を最大限に活かして事業を展開することができます。