造園工事業で建設業許可を取得したい方へ！行政書士が解説します！

2024年8月20日

はじめに

造園工事業は、公園や庭園、緑地帯などの設計・施工・維持管理を行う業種です。美しい景観を創り出し、自然環境を保護するための工事を担っています。この記事では、造園工事業の概要や工事の流れ、専任技術者に必要な資格について解説します。また、資格の取得がどのように実務に役立つかについても触れていきます。

造園工事業の概要

造園工事業とは、公共施設や住宅、商業施設などの敷地内外において、庭園や緑地、植栽を設置し、自然環境を整備する工事を行う業種です。これには、植栽や芝生の敷設、石積み、池や噴水の設置、歩道や広場の舗装などが含まれます。造園工事は、都市環境の改善や住環境の向上に寄与し、地域社会の景観を美しく保つために欠かせない仕事です。

造園工事の種類

造園工事には以下のような種類があります。

庭園工事: 個人宅や施設内の庭園を設計・施工する工事です。樹木や花壇、芝生の設置、池や滝の施工などが含まれます。
公園整備工事: 公共公園の整備を行う工事で、遊具の設置や芝生の敷設、ベンチや照明の設置などを行います。
緑地整備工事: 町や都市の緑地帯を整備し、植栽や樹木の管理を行う工事です。環境保全の観点からも重要な工事です。
都市景観工事: 都市部の景観を美しく保つために行われる工事で、街路樹の植栽や広場の整備、壁面緑化などが含まれます。

造園工事に使用される材料と機器

造園工事では、さまざまな材料や機器が使用されます。主な材料や機器には以下のものがあります。

植栽材料: 樹木、花、芝生など、植栽に使用される植物です。季節や地域に応じて選定されます。
石材: 庭園や歩道に使用される石で、敷石、飛び石、石垣などに使用されます。
木材: ベンチやデッキ、フェンスなどの構造物に使用される材料です。耐久性が高く、美観を損なわないものが選ばれます。
園芸機械: 芝刈り機やチェーンソー、トリマーなど、植栽や緑地の管理に使用される機械です。

造園工事の流れ

造園工事は、以下の流れで進められます。

1. 現地調査と設計

工事の第一歩は現地調査です。現地調査では、敷地の状態や周囲の環境を確認し、どのような造園が適切かを判断します。その後、敷地の特性やクライアントの要望に基づいて設計図を作成します。

2. 工事の準備

設計図が承認されると、次に工事の準備が行われます。必要な材料や機器の調達、作業スケジュールの作成、現場の安全対策が含まれます。工事中に周辺環境への影響を最小限に抑えるための配慮も行われます。

3. 造園工事の実施

工事が開始されると、まず整地や土壌改良が行われます。その後、樹木や花、芝生の植栽、石積みや水景施設の設置、舗装工事などが進められます。施工中は、計画通りに進んでいるか、品質管理が適切に行われているかが常に監視されます。

4. 完成検査と引き渡し

工事が完了すると、完成検査が行われます。設計図通りに施工が行われているか、植栽や施設が適切に配置されているか、安全基準を満たしているかを確認します。必要に応じて修正が行われ、最終的にクライアントに引き渡されます。

専任技術者に必要な資格

造園工事業では、現場の管理や施工を行うために専任技術者の存在が不可欠です。専任技術者には以下のような資格が求められます。

資格名	備考
1級造園施工管理技士	大規模な造園工事の施工管理を行うことができる資格
2級造園施工管理技士	中小規模の造園工事の施工管理を行うことができる資格
建設（「鋼構造及びコンクリート」を除く）総合技術監理「建設」（鋼構造及びコンクリートを除く）	建設分野全般における総合的な技術管理を行う資格
建設「鋼構造及びコンクリート」総合技術監理「建設―鋼構造及びコンクリート」	鋼構造及びコンクリートに特化した建設分野の技術管理を行う資格
森林「林業・林産」総合技術監理（森林「林業・林産」）	林業および林産に関連する総合的な技術管理を行う資格
森林「森林土木」総合技術監理（森林「森林土木」）	森林土木に特化した技術管理を行う資格

これらの資格を持つ技術者が現場にいることで、造園工事は安全かつ高品質に進められます。特に、造園施工管理技士や総合技術監理資格を持つ技術者は、施工現場の管理や品質の確保、安全対策において重要な役割を果たします。

造園工事業の実務と資格の活かし方

造園工事業において、専任技術者の資格は実務で非常に重要です。例えば、造園施工管理技士は、造園工事の全体的な設計や技術的な指導を行い、工事が効率的かつ安全に進むように管理します。また、総合技術監理資格を持つ技術者は、特定の分野における高度な技術管理を行い、プロジェクトの成功に貢献します。

資格取得のメリット

造園工事業で資格を取得することには、以下のようなメリットがあります。

キャリアの向上: 高度な資格を持つことで、プロジェクトリーダーや管理職への昇進が可能になります。
信頼性の向上: 資格を持つ技術者は、クライアントや上司からの信頼を得やすくなり、仕事の受注や評価にも良い影響を与えます。
報酬の増加: 資格を取得することで、給与や報酬が増加する可能性があります。特に大規模プロジェクトに携わる場合、報酬が大きくなることが期待できます。

資格取得のステップ

資格取得にはいくつかのステップがあります。まず、対象となる資格の要件を確認し、必要な実務経験を積むことが重要です。次に、試験の準備を行い、必要な知識や技術を身につけます。試験合格後、資格を取得することで、正式に専任技術者としての業務を行うことが可能となります。

資格取得後のキャリアパス

資格取得後のキャリアパスは非常に多様です。以下にいくつかのキャリアパスの例を紹介します。

プロジェクトマネージャー
高度な資格を持つ技術者は、プロジェクトマネージャーとしてのキャリアを築くことができます。プロジェクトマネージャーは、造園工事プロジェクト全体の計画、予算管理、スケジュール管理、品質管理、安全管理などを担当し、プロジェクトの成功を目指します。特に大規模なプロジェクトでは、マネージャーの役割が非常に重要です。
専門技術者・コンサルタント
資格を活かして、造園工事に特化した専門技術者やコンサルタントとして活動することも可能です。設計や施工方法の最適化、材料選定に関するアドバイスを提供し、プロジェクトの成功に貢献する役割を担います。また、造園や緑地管理の分野における最新技術の導入や、持続可能な設計への取り組みをサポートすることもできます。
教育・研修の指導者
取得した資格と実務経験を活かして、次世代の技術者を育成する教育・研修分野に進むことも一つの選択肢です。企業内の研修プログラムでの指導や、専門学校や大学での講師としてのキャリアを築くことができます。教育者としての役割を通じて、業界全体の技術水準を向上させることが期待されます。
経営者・独立開業
豊富な経験と資格を持つ技術者は、独立して自らの会社を設立し、経営者としての道を歩むことも可能です。造園工事に特化した会社を設立し、これまでの知識と経験を最大限に活かして事業を展開することができます。特に、環境保全や都市緑化に強みを持つ会社を運営することで、安定した需要が見込めます。